携帯依存症になった私
私が契約を取れ始めたころの話です。
あるお客様と契約を頂き、お付き合いをしていた。
仮に名前を高田さんとしておきます。
高田さんは会社でも偉い方。
かなり厳しいお客様だ。
私はこのお客様を契約した直後にかなり後悔し始めていた。
《やめとけばよかったかなぁ~》
商談時からうすうす気づいていたのだが、契約後に本性が出始めた。
こんなことがあった。
トゥルルルルル
携帯をみると高田さんからだ。
私は他の電話をしていたので、出ることが出来なかった。
5分後に電話をするといきなりこんな感じ。
高田さん『何ですぐに電話に出ないんだ!困るんだよ!』
その後も携帯に出ないだけでえらく文句を言われるようになった。
休みの日でも、夜の11時でもだ。
《付き合っていけるかなぁ~》
夜電話をもらうたびにどんどん不安になっていった。
ある日、私は休みの日に仲間とゴルフに行った。
調子がよくスコアはなんと84!
ベストスコアだ。
機嫌よく打ち上げに行こうとしているとき、高田さんからの着信に気づいた。
いゃぁ~な汗が全身から噴出した。
今までの盛り上がった気分は一気にどん底に。
恐る恐る電話をしてみると案の定ブチ切れ。
私はみんなとの打ち上げを断って高田さんの家へ向かった。
結局用が終わって家に帰るころには、10時を過ぎていた。
《ちくしょ~断っておけばよかった》
後悔先に立たず。
このときはすでに建物をオーダーした後だったので逃げられるはずもない。
私は高田さんのおかげで携帯依存症になった。
携帯が片時も話せない。
風呂に入るときでさえすぐに出られるように近くに置いていた。
ある日ゴルフ仲間からこんな突っ込みを受けた。
仲間『お前、打つごとに何携帯見てるんだよ、落ち着かないやつだなぁ』
私はショットを打つごとに、着信を確認していたのだ。
しかも半分無意識で。
完全に病気だ。
あるホールで高田さんから電話があった。
借り入れで関係で誤解が起こり、説明に時間がかかった。
仲間はあきれていた。
その日ずっと絶好調だったドライバーがどスライスでOB。
しかも3連発。
めったにOBを打たない私はキレてその日のスコアは2年ぶりに100を超えた。
ゴルフというスポーツはメンタル面が大きく影響するものだと実感できた瞬間でもある。
この日、深く落ち込んだことを覚えている。
《これじゃぁ24時間休みのない奴隷じゃないか!》
休みも休みじゃない。
これなら売れないダメ営業マンのほうがまだいいと思ったほどだ。
またこんなこともあった。
トゥルルルルル
私『はい、菊原です。』
高田さん『ちょっとかけ直してくれる。』
といって電話を切った。
《どうしろのだろう?》と思いながら、私の携帯で高田さんの携帯に電話をした。
電話に出た高田さんはおもむろにこう言った。
高田さん『携帯代、もったいないからさぁ。』
私『・・・・。』
《オレだって自前だよ!》
この後、彼の自慢話と愚痴を聞くはめになった。
今までもいろいろキツイお客様とお付き合いしたが、引渡しをしてしまうとなぜか忘れてしまっていた。
のどもと過ぎれば、何とかというやつである。
しかし、今回だけは絶対に忘れるものか!と誓った。
この後、何とか高田さんを無事に引き渡しすることが出来た。
ここでは省略するが、引渡しの際も金を払う払わないでかなりもめた。
高田さん『○○をサービスしなれば残りの金は払わねぇよ。』
引渡し前は毎日のように現場と夜家に呼び出された。
本当に高田さんと付き合っている半年間は鎖につながれているような生活だった。
私はこの後ヤバイお客様とは付き合わなくなった。
商談時からヒアリングを強化して、今後付き合っていけるか?を見極めた。
そのために心理学から営業ノウハウ本など、必死で読みあさった。
《もうあんな思いは二度としない》
というモチベーションがそうさせたのだ。
付き合っていいお客様がとうかだんだん見極められるようになった私はその後安定した営業成績を残せるようになった。
そして毎日、楽しく仕事やプライベートを過ごすことが出来た。
あの時高田さんに出会わなければ、真剣にヒアリングについて学ぶことはなかっただろう。
そういった意味では感謝しています。
その後、ほとんどいいお客様と付き合えるようになった。
そしてここから35ヶ月間連続契約が続いたのです。